夢中になって暮らせれば何でもいい

夢中になって暮らせれば何でもいいというのは、フィッシュマンズによる一節より。

ジャズと凩(寺山修二の俳句より)

僕の好きな俳句の一つに、寺山修司の俳句がある。

「もしジャズが止めば凩ばかりの夜」
という句である。
 
「もし」、とあるので今はジャズが演奏中である。そのジャズが止めばということなのだろう。ジャズが演奏されているライブハウスかレストランかバーかどこかにいるのを想像するのが素直で、外で吹く凩が時々室内にまで聞こえてくるような冬の夜だろうか。今まさに演奏中のジャズ演奏に目を向け、耳を向ける。トランペットの音は凩のようでもある。とくにミュートトランペットの枯れたような感じは凩のようか。マイルス・デイビスの吹くトランペットを想像する。ベースは凩の吹くべき夜の闇の雰囲気を作る。ピアノやドラムは、凩によって揺れる木々や、転がる路上の缶か。
 
ジャズは凩のようである。そして、ジャズが止めば凩のみというが、実際は凩によってジャズは止まず、音楽は続いていくようである。